更新:20130302

Higlasi-2A、Higlasi-1B 

開発背景

人様からお金を頂ける様な「製品」レベルのポータブル赤道儀を作ろうと決めた時、製品群としては[汎用][超小型][高性能]の3機種は最低必要と考えました。 サラリーマン時代から超小型と称される製品には縁があり、汎用(Higlasi-1A)の後は超小型と決めていたのですが、3kg超の機材を載せられるポタ赤を望まれる声が多く、また、市場には「ナノトラッカー」なるブツも投入された事もあり、2012年の初夏、方向を変え、高剛性・高精度をコンセプトとするHiglasi-2Aの開発に着手しました。 幸い、Higlasi-1Aを購入頂いたお客様やブログを閲覧されている方々から、 多くのご意見、改良点のアイデアを頂く事ができ、何をすべきかの迷いもなく、ここでご紹介できるレベルまで完成度を上げる事ができました。
高剛性を実現するために、3kg超えの機材(50-500mmレンズ+eos20D+バル雲台)をHiglasi-1Aに載せ、DPPA後、最も負荷の掛かる位置(真上) に機材を向け、各部の歪を徹底的に測定しました。 3kg超は想定以上に大変な世界で、シャフト、ベアリング、フレーム、軸受、構造体・・・・見た目のフォルムはHiglasi-1Aと変わりませんが、 そのままスケールアップしただけの部品は1点、補強板だけで、結果的に全面変更になりました。 精度を上げるために、ウォームホイールの直径を50%大きくしました。計算上、ピリオディックモーションエラーは33%改善できるハズですが、 剛性の強化が影響したのか50%以上の改善を確認できました。また、平歯車をタイミングベルトに変更し、1台毎に偏芯量を調整する事により、さらにピリオディックモーションを改善する事ができます。 現時点(20121225)、サンプル数が少ないので、断定はできませんが、±10秒角(弊社開発測定機による値)を謳えるかも知れません。

Higlasi-1A からの改良点

DIP_swは操作性が悪い
3ポジションのトグルsw
軍手で操作できない
3ポジションのトグルsw
時限切替が分かり辛い
3ポジションのトグルsw+プリセット
時限の種類が少ない
VRで16種
38mm以上の雲台を設置できない
50mmまで可能(Higlasi_2A)
追尾を止めないでカメラ設定を変更したい
sw3_2 に追尾中シャッターOFF機能新設
微動swが欲しい
東西微動swを新設、長押しで高速移動機能
定尺移動が欲しい
1クリックで2.5degと15deg移動機能
タイムラプスの速度が少ない
VRで連続可変(16種)
DPPA時の雑音が大きい
ベルト駆動 (Higlasi_2A)(_1Bはオプション)
撮影機材を3kg以上
剛性強化(Higlasi_2A)
北極星が見えない対策
ドリフト法実装
雲台が滑る
雲台ステージ上をレーザーでけがき処理(Higlasi_2A)
雲台が滑る
スベリ止めリング付属
LEDが眩しい
電流を少なく穴を小さく

fig_01

Higlasiエンジン ver.2

これらご意見ご要望を実現するため、Higlasiエンジン ver.2 を開発しました。 近い将来、部品実装済完動基板を自作派のみなさんに販売したいと考えております。
現時点、Higlasiでの使用予定には無いUSBコネクタも実装可能で、搭載CPUはPIC18F4550です。
(Higlasi-1B,-2A はPIC16F887)

fig_02

Higlasi-2A、-1B の操作パネル

fig_03

最も簡単な操作設定方法
極軸調整穴に北極星を捉え、電源とレリーズケーブルを接続し、sw1,sw2,sw3のポジションを1に切替(下方向)、 STA_swをクリックすれば、恒星モード、トルク100%、バルブモード(撮影時間1分)で追尾します。
広角撮影の場合、これだけでOKです。

sw1、sw2、sw3
sw1~3は3ポジションのトグルスイッチです。以下では例えばsw1のポジション3をsw1_3と表記します。 sw1_1は恒星、sw1_2は星景、sw1_3はタイムラプスで、sw2,sw3はsw1のポジションにより下表の通り機能が変わります。 月、太陽モードの切替操作と時限A、B、Cは下記プリセット操作を参照ください。

fig_04

sw3_1 バルブモード
設定時限の間シャッタON、2秒間シャッタOFF、これを繰り返します。

sw3_2 追尾中シャッターoff
追尾を止める事無く、シャッタOFFし、カメラの再設定やsw1,2,3で設定できる内容を 変更できます。 追尾中シャッタoffから、復帰した場合、タイマーはゼロ秒から進みます。

sw3_3 インターバルモード
設定時間のインターバル後、シャッタを2秒間ON、これを繰り返します。

STA_sw

クリック
追尾スタート、追尾停止スタート位置復帰
長押し
カーチスデジカメ法(DPPA)またはドリフト法
操作
sw1_1:カーチスデジカメ法、sw1_2:ドリフト法

◁◁_sw
極軸を増速して時角西方向に微動します。

スタンバイ sw3_1
任意に移動、2秒以上の長押で高速移動します。
スタンバイ sw3_2
1クリックで 15deg(1h)移動
スタンバイ sw3_3
1クリックで2.5deg(10min)移動
追尾中  sw3_2
任意に移動

▷▷_sw
極軸を増速して時角東方向に微動します。

スタンバイ sw3_1
任意に移動、2秒以上の長押で高速移動します。
スタンバイ sw3_2
1クリックで 15deg(1h)移動
スタンバイ sw3_3
1クリックで2.5deg(10min)移動
追尾中  sw3_2
任意に移動

VR
正確な時限や速度のVR回転位置調整は正直、難しいです。ですから、プリセットの補助的機能とご理解ください。
例えば、VRでタイマー値を300秒に設定する場合、300秒は左から10番目ですから、 VRをいったん左いっぱいに回し、その後、適度な速度でVRを右回転し、赤LEDの点滅を10回カウントした位置になります。。大体の感覚で操作する場合はswの設定②が有効です。右回し いっぱいで10分、中央で5分、1/4位置で2~3分です。

恒星、星景モードで時限を任意に切り替えます。

注意(不具合報告):swの設定①で追尾中、[追尾中シャッターoff]機能を有効にすると、swの設定②に移行する不具合があります、対策等の報告はここをご参照してください

swの設定①
[sw1_1] or [sw1_2]、 [sw2_3]、[sw3_1]
設定時限
VRを回し時限を切替、時限の境界は赤LEDが点灯します。

20130205 出荷分より下記fig_05-1 の時限は廃止し、同操作でfig_05-2 の時限とします。

fig_05-1

swの設定②
[sw1_1] or [sw1_2]、 [sw2_3]、[sw3_2]
設定時限
VRを回し時限を切替、時限の境界は赤LEDが点灯します。
注意
[Sta_sw] クリック後、[sw3_2] → [sw3_1]に切替ます。

fig_05-2

タイムラプスモードで速度を任意に切り替えます。

swの設定
[sw1_3]、[sw3_3] sw2:時限切替
設定速度
VRを回し速度を切替、速度の境界は赤LEDが点灯します。

fig_06

LED

赤LED ゆっくり点滅
追尾中
赤LED 高速点滅
電圧不足またはエラー発生
黄LED ゆっくり点滅
スタンバイ状態
黄LED 点灯
追尾中シャッターON

極軸調整 2種

 sw1_1 STA_sw 長押しで DPPAモード起動。(DPPAに関してはこちらをご覧ください)
 sw1_2 STA_sw 長押しで ドリフト法起動
ドリフト法の時限設定
 sw2_1: 30秒
 sw2_2: 60秒
 sw2_3: 180秒

ドリフト法の動作
sw1_2 STA_sw 長押しでLED赤黄が点灯し1秒後ドリフト法が起動します。
 ① ギヤのバックラッシュをクリアするため5deg後退5deg前進。
 ② シャッターオン、黄色LED高速点滅
 ③ 5秒後恒星モードで追尾、黄LED点灯
 ④ sw2による設定時限後、追尾停止、黄LED高速点滅
 ⑤ シャッターオフ
 ⑥ スタート位置に復帰

プリセット操作

全てを初期値(出荷時状態)に戻す。

操作
[sw1_1, sw2_1, sw3_1] + [◁◁_sw] を押しながら電源を投入する。
LEDの表示
赤-黄が0.5秒周期で点滅
初期値
fig_4の状態、[sw_1]は恒星モード、トルクは100%、北半球モード

モード、南北、トルクを切り換える。

操作
下表 + [◁◁_sw] を押しながら電源を投入する。
LEDの表示
赤-黄が0.5秒周期で点滅
設定例
太陽追尾、南半球、トルク120%
[sw1_3, sw2_2, sw3_3]に切替、[◁◁_sw] 押しながら電源を投入する。

時限A、時限B、時限C を設定する。

操作
下表 + [STA_sw] を押しながら電源を投入する。
LEDの表示
赤-黄が0.5秒周期で点滅
設定例
B時限480秒
[sw1_2, sw2_2, sw3_3]に切替、[STA_sw] 押しながら電源を投入する。

追尾を停止してインターバルタイマーとして使用する

操作
追尾停止
追尾中、[sw1_2][sw3_1]の状態で[◁◁_sw]をクリック
追尾再開
追尾停止中、[sw1_2][sw3_1]の状態で [▷▷_sw]をクリック

機材の滑り止め
Higlasiには写真のリングとスプリングワッシャを同梱します。雲台が滑るようでしたら、雲台ステージと雲台の間にリングをはさむと、滑りを軽減できます。
注意:通常機材では不要です。過度に締め付けると雲台座が変形する場合があります。

操作フロー

主な仕様 Higlasi-2A -1B -1A 比較